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少し前に書いていた「そうだBtoC文具、つくろう。」ってなんやかんやっていたMOKUのコラム担当なかのひと1号です。
すっごいあれなんですけど、わたしの前職って、D2Cの医療機器メーカーでした。具体的なジャンルとか書いてしまうとニッチすぎてバレるのでぼやかしますが、ある器具のダイレクトコマース。そのマーケティングをやっていました。(なぜ忘れていたのか…)
もちろん医療機器なので思いっきり薬機法があって広告やクリエイティブがとにかく規制されまくりで「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ…」状態。YMYL改訂もあったのでSEOも相当に難しいジャンルでした。
通常、医療機器って性能とか機能とかそういうので競合との差別化をしたりで販売するのですが、先にもいった規制やYMYLが思いっきりどでんと居座っているので、そこで勝負するのではなく、女性の購入者がとても多かったこともあったので思い切って広告クリエイティブをファッション誌や有名なジュエリーブランドのようにデザインして競合とくらべて「おしゃれ」であることで勝負をかけてマーケティングをしていました。これなら薬機表現にもかからずYMYL的なことでの訴求もせず認知を拡大できたので、そんな結構楽しい感じの集客をやっていました。
なんやかんやで、最終的にはその医療機器ジャンルでトップシェアを競い合うくらいにまで成長してくれたので個人的にはとても良かったなぁと思っています。
さて、今回のコラムはD2Cで雑貨、文房具などをはじめたい!という方や企業様向けに、「自分たちの工場はないし、D2C雑貨は難しいな。」というD2C初めての方にむけて、「だいたいどれくらいの費用がかかるんだ?」というちょっと込み入ったニーズや、「テスト的にはじめてから考えたいんだよね。」というロットや納期のこと。これらをまるっとガイドします。
OEM雑貨!わからないことが多すぎて前に進めない!という皆様の「暗闇の荒野に進むべき道を切り開く」そんな覚悟の一助になれるとうれしい。そんなコラムとなっています。
では、「我が心と行動に一点の曇りなし!」と、震えてるぞハート!燃え尽きてるけどヒート!!OEM雑貨ではじめるサスティナブルなD2C!!書いていきます。
OEM雑貨ってそもそも何?D2Cとの相性は?
ほんとうに始めての方に向けて、まずはOEMというものを解説させていただきます。
OEMとは「Original Equipment Manufacturer」の略です。
「オリジナルエクイップメントマニュファクチャー」これを略してOEM。
他社ブランド製品を代わりに製造する仕組みで、自分たちで工場をつくったり、設備を準備したり、人員を雇う必要がなく、手軽にものづくりをはじめることができる仕組みのことです。
似たものでPBがあります。
PBは「Private Brand」の略で、実はこれにもOEMが関わっています。有名なものでコンビニエンスストアのPBがあります。例えばポテトチップスですが、ポテチを製造している会社の製造ラインで、製造していない時間などで委託を行い、OEM製造をしてプライベートブランドとして販売を行うものです。
OEM製造の大枠のなかにPBがある。というようなイメージですね。
ほかには、自動車の事例があります。
例えば、S社の軽自動車で人気の車を、内装を変えてN社が名前を変えて販売するなど、普通に行われています。
このPBや自動車の例でお分かりいただけるかなと思いますが、製造ラインや他社の工場を借りてつくれるもので、自社にない商品をさくっとつくれたり、人気の商品を自社のブランドとして販売できたり、結構多くの会社が一般的に使っているものです。
OEM雑貨の特徴
そんなOEM製造を雑貨ではじめたい。雑貨、それも文房具、スマホグッズ、ルームフレグランス、キャニスターをはじめ、スクレーパーなといったキッチン雑貨などが雑貨のOEMで一般的なものです。
ちなみに、雑貨OEMのほとんど、もう99%といってもいいくらいの割合で、製造国は中国など海外です。
海外製造になりがちな理由はいろいろあるのですが、人件費は安かったりしますが現地の品質チェックが甘いと最初の納品はいいものが来るのですが、本格的な製造がはじまると不安定になったり、環境関連の配慮や人権配慮などがちょっと不明瞭というのがネックになります。
ただ私たちは、国内製造です。

国内製造の場合、人件費は少し高くなるかもしれませんが、日本で問題になっていることの解決になることを優先しています。
木工加工では、国内の木工加工や伝統の技術を若い世代へ継承したり、環境関連でも日本の荒れた森の木をつかってグッズをつくるので、森の環境・生物多様性を守ることにもつながります。もちろん、CO2など温室効果ガス削減にもなり気候変動への具体的な取り組みになります。ほかにもいろんなサスティナブルになることをやっていますので、こちらが気になるかたはぜひ資料集のお問い合わせを

D2Cでは利益率と「なぜ」の両立が“戦略の土台”に
さて、D2Cブランドをつくりたい!となったときにいろんな考えることがあると思います。
マーケティングミックス的な観点でいうと、Product(商品)やPrice(価格)、Promotion(プロモーション)、Place(売り場)のなかでも前提的にPrice(価格)はかなり大事になってきます。
Price(価格)といっても、単に高い安いの話ではなく利益・粗利率の問題です。
というのも、D2Cは自分たちで集客をして販売をするということで、広告費やSNS運用などで人件費もかかりがちです。
また、Productの価値を高めるために、デザイン性のあるサイトや商品写真はもちろん、パッケージやVMDなど細部にいたるこだわりを積み重ねることでお客様に「ここがいい!」と思っていただくだけのクリエイティブをつくる必要もあります。これら制作費もイニシャル(初期コスト)でかかります。
もろもろ含んでいくと、雑貨のD2Cであれば粗利率は最低でも50%くらいから、できれば70%くらいあると運営しやすくなる。
そんな高め設定が求められるラインになると思います。

こちらはざくっとしたジャンルごとのD2Cで確保したい粗利率(利益率)の目安となっています。あくまで理想ですので、ガイドライン的に考えていただけるといいのかなと思います。
「価格勝負・量産体制」ではなく、“意味のあるモノづくり”
じゃあ、安いところで中国をはじめとした海外製造でってなると、ちょっとまずいかもしれません。というのもD2C雑貨は、単なる“安くてかわいい”では勝てません。
安いだけなら、もう海外製造のほうが優位になりがちですし、D2Cで雑貨を購入する世代として、Z世代やミレ二アル世代は、商品がいいだけでは一度は買ってくれたとしても継続的に買ってくれることはなかなかありません。
結構大事なポイントなのですが、D2Cは「なに」を買うことと同じくらい「なぜ」買ったのか?が大事なポイントになります。
「開発ストーリーを読んで感動したから」
「職人がひとつずつ手作りしていて、量産品と違うから」
「そのブランドの“世界観”が自分の価値観と合っていたから」
こういうと語弊があるかもしれませんが、消費という行動が応援・共感の表明、投票に近い感覚へと移行してきています。
もちろんすべての消費がそうだ。そうなっていくんだ。とはいいません。
この傾向は、とくにこだわりのあること、ファッションやアパレル、バッグ、ガジェットやデバイス、雑貨やインテリアなど、D2Cでの消費構造ではこの傾向が現れやす位と思います。
先の項目でもあった利益率や粗利率を50-70%(雑貨の場合)を保ちつつ、この「なぜ」にしっかりと訴求を行うこと
この「なぜ」がかけてしまうと、どんなにいいもので利益率や粗利率が良くても、なんかうまくいかない。ということになってしまいがちです。
このあたりは、「物づくり」を「物語づくり」にまでもっていけるかどうか?が問われているというとちょっとカッコつけすぎですが、そのような感じのこだわりを徹底させられるかどうか?だと思います。
OEM雑貨D2C製作事例
さて、ここでD2Cで雑貨としてちょっとかわったまな板、カッティングボードをつくった事例を紹介したいと思います。

お客様事例:Kayak55.com 株式会社マルソウ様

フィッシングカヤック専門のお店なのですが、カヤックの蓋にぴったりサイズになるように木製まな板、カッティングボードを製作しました。

詳細については姉妹サイト Wood+ [ Kayak55.com 株式会社マルソウ様木製オリジナル商品/OEMのデザイン事例 ]にて
OEM雑貨とD2Cの相性とメリット
D2Cで雑貨ブランドをはじめたいとなってもなかなか自社で製造ラインを持っているということはないと思います。
そのため、D2Cで雑貨をと考えるとその多く、下手をすると90%以上がOEMでオリジナル商品、オリジナル雑貨をつくる。ということになります。
とくに雑貨は意外とつくるのにコツがいります。
強度はもちろん原料調達や大量に作るとなった時の資材保管など、そういったことをいっさいがっさいお願いできるのがOEMの強み、良さです。
また、D2Cブランドでは集客をはじめとするお客様との接点などに集中できる。というのも嬉しいポイントになります。
ただOEMには大量ロットというのが前提的にあるので、そこだけ注意という感じですね。
小ロットはザクっと500個前後。ともすると1000個というところになります。
現状で集客がある程度見込めて、500個や1000個を販売できるという確証があれば問題はないと思いますが、できればテスト的に商品をつくってお客様の反応を見て、それでいい具合ならば本格的にというのが良いと思います。
海外のOEMではなかなかこの対応ができなかったりするので注意が必要です。
雑貨OEMの小ロットで、世界観重視が可能なのか?
雑貨OEMの小ロットといっても国内の企業で1から商品をつくりたいとなると、100個〜というところがほとんどです。
でも、売れるかどうかわからないものを100個というのもちょっとこわい…ですよね。
できれば多少高くなっても10個とかでテスト販売したり、実物サンプルを作ってイベントで手応えを見てから販売したりって、やれるならやりたい。
そしてなによりも大事になるのが世界観をつくることができるかどうか?になります。
結局のところどんなに小ロットでつくれても、安く作れても、世界観がつくれず、競合の中で差別化ができない商品になってしまうと価格勝負ということになりがちです。
そうなると利益率を圧迫してうまくいかないということになりかねません。
この小ロットと世界観の両立と、利益率が確保できる生産体、OEMが可能かどうか?
ここが結構OEMでD2Cでものづくりをするときに大変なポイントになってしまいがちです。
手前味噌的な話ですが、私たちはテスト的に10個などでサンプルをつくることができます(価格は高くなりがちですが…)。
先にもあげた、サスティナブルなものづくりができるので、気になった方はぜひ気軽にお問い合わせください。
OEM雑貨(小ロット対応)の費用相場って?コストや利益率などのポイント
ここまで書いておいて、もうあけすけにお伝えするとOEMの委託先は山ほどあってピンキリ。
そのOEMメーカーの強みはどこなのか?何個くらいつくれれば元が取れて損益分岐になるのか?このあたりまで掘り下げて書いていきます。
仮にですが、雑貨で木製スタンプのデコれる手帳スタンプを作るとします。

手帳スタンプは上の写真のようにいくつか揃えて使うという方も多いので継続販売や新商品での再販性リピートとD2C雑貨と相性が良い商品です。
デコれる手帳スタンプでD2Cつくってみたら…
こちらの商品は最低ロットで100個からつくることができます。(ちなみに写真に写っている通りで3本セットです。)
100個(300本) × 583円 58,300円 こちらは本体の製造価格 / 初期費用で、加工などにかかる費用が別途10,000円 / 送料 1.300円
税抜合計 69,600円 / 消費税 6,960円 / 合計 76,560円
まぁまぁしますね。ただ、この商品は写真の通り3個のスタンプがつくれますから。300個スタンプが届きます。
1本あたりでいうと76,560円÷300本で255円/本
これなら、結構いい具合の価格に収まります。ただ、忘れてはいけないのがパッケージ
パッケージもオリジナルでつくるとまぁまぁするので、はじめてD2C雑貨をということであれば既製品で、おしゃれなクラフト紙の封筒などにシール貼りでも十分要件を満たすことができると思います。ちょうどこんな感じのイメージ

D2CかつWEB販売であれば、パッケージはこういった形でも進めることはできると思います。シールもちょうどいいサイズの既製品を購入して自社印刷でかなり費用感は抑えることができそうです。
ざくっと、封筒を300個、シールを300セットとした場合 コミコミ2,500円くらいでどうにか収まるかなと思います。一個あたりで8.3円 ということで、パッケージまで含んでもろもろ計算すると、一個あたり263円
粗利率50%なら販売価格は526円前後 これが最低ライン
粗利率70%なら販売価格は876円前後 こちらはできたらいいねのライン
自分なら、競合の価格帯など踏まえていくと商品や集客がすでにできているのであれば、1個680円(原価263円 / 粗利率約61%)程度。まだこれから!というのであれば1個580円(原価563円粗利率約54.7%)で販売していくといいのかな。とざっくり考えます。
粗利でみると61%と54.7%なので理想からは遠いのですが、あくまでテスト販売から、軌道に乗るまでの粗利率の設定としておきます。
テスト販売で「いける!(Go Beyond!)」と判断したらロット数を調整することで、この利益率を理想の70%台に持っていくようにするがビジネスモデルとしてはいいのかなと思います。
なぜこうできるかというと、OEMは製造する個数が大きくなればなるほど一個あたりの価格は下がる傾向があるからです。
OEM雑貨の製造とロットによる単価の変動
さて、ここからはテスト販売以降の可能性についてです。仮に一個580円で販売していたとします。
軌道に乗ってきてもっと大きなロット数でもいいなとなったら、OEM製造委託先で500個の計算になると私たちの場合で、一本あたりの原価は164円に下げられます。
これにパッケージなど一本あたり8.4円 合計で172.4円が原価となり、580円で販売していても粗利が70.3%となりD2C雑貨の利益率で理想値を超える運用ができるようになります。
こう考えていくとテスト段階は54-55%くらいの粗利で進めて、軌道に乗ったら70%の粗利になるように、と段階を踏んで損益分岐を変えていくというのが手法としては良さそうです。
そして、1000個などのロットになるともっとさがります。125円くらいになるので、パッケージなど含んでも原価は134円
780円で販売すれば粗利率は82.8%
580円で販売すれば粗利率は76.9%
と580円でも理想値を大幅に超える運用ができます。70%粗利をベースに考えると446円で販売まで価格をさげても問題ないという形になります。
このロット数に応じて単価が変動して、販売戦略も大きく変わるということがご理解いただけましたら幸いです。
OEM雑貨をD2Cで展開する際の納期感は?
納期というとあれですが、ロット数100個くらいの雑貨もので、作るものがすでにきまっていてすぐに木工加工して、納品だとザクっと1ヶ月くらい。
複雑なものになってくるとすこし変わってきますがそれでも1ヶ月半くらいかなと思っていただけるといいかなと思います。
ちなみに、先のスタンプであれば確実に1ヶ月でつくれます。
よほど複雑な形にしたい。や、素材にこだわりがあり仕入れに時間がかかるなどあると少し伸びます。

木なら上の画像の範囲なら通常の納期、1ヶ月くらいで。指定でほかの材料として、ステンレスやガラスなどをつかうなどがあると、少しだけ納期が変わる可能性があります。
また、OEM委託先や工場などによっては繁忙期などもあります。あらかじめ確認しておくと安心です。
まとめ|“モノ”ではなく“メッセージ”を届けよう
というわけで、雑貨のOEMでD2Cをはじめたい!という方向けのコラムでした。
とにかく、D2Cでめざしている「世界観の翻訳機」となりえるOEM委託先を見つけられるかどうか?
D2Cで最も大事な、購入してくれるお客様が共感してくれるストーリーにそってものづくり、物語づくりができるかどうか?ここをしっかり抑えられるといいですよね。
価格や利益率も欠かせないポイントです。内容をまとめるとテスト販売や軌道にのるまでは粗利率50%くらいではじめて、軌道に乗ったらロット数で調整して70%を目指す。というのが最適解かなと思っています。
そんなこんなですが、ここまでお読みいただいた方はもうお気づきかと思いますが、サスティナブルなOEMで“はじめの一歩”を歩むなら私たちの木製品がおすすめです。
木製品、雑貨としてつくっていただくだけで日本で問題になっている森が荒れてしまっている問題解決の一助になります。
具体的には、ここ数年で特に問題になっているクマが街に降りてくることがあります。すべての原因がそうだということではないですが、森の環境が荒れて食べるものがなくて街に降りたりしています。
この解決に森の木を適切に切って人の手を森に取り戻す。というのがあります。もちろん、森のなかの環境がよくなるので生物多様性の保全に貢献するアクションとなります。
もっというと、〇〇県産材など指定も可能なので、地域特化、地方創生のアクション、ソーシャルグッドのアクションにもなります。ほかにもたっくさん貢献できることがあるのですが、書いていると本当に長くなってしまいます。
OEM雑貨に関わらず、D2Cの共感するストーリーをいっしょにつくることもできます。
ぜひ一度お問い合わせください。それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。



