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化粧品の市場は新興のD2Cブランドが立ち上がったり、大手や老舗もあいかわらず強く、海外メーカーなども増えてきていて、その競争は、まさにレッドオーシャン。その市場では、品質や機能だけでは差別化が難しい時代に入っています。
欧州では業界団体主導で「エコビューティスコア」が始まり、グリーンウォッシュを規制する動きも加速中です。まだ義務ではないものの、将来的に規制化される可能性が高く、早めの対応が企業価値を守るカギになります。
引用:欧州で化粧品の環境スコア開示がスタート 70社以上参画の「エコビューティスコア」、包装材表示へ
https://www.wwdjapan.com/articles/2175342
認識としては、欧州で化粧品販売をするときの義務ではないが、グリーンウォッシュへの対策として、やると第三者認証的なスコア評価があってお客様が安心して商品を購入できるようになる取り組みです。
このエコビューティースコアは、具体的に何をしたらスコアが上がるのか?などはまだ情報が具体的に入ってきてはいませんが、基本的にはESG関連の取り組みを丁寧に実施して、第三者認証(欧州に拠点がある認証機関がよいかな…)やトレーサビリティ、LCA(ライフサイクルアセスメント)をしっかりとやって情報開示ができることでスコアが上がるんじゃないかなと思います。
さて、そんな「世はまさに、大環境時代。」 そこで注目を集めているのが「サステナブルパッケージ」です。
今日もコラムを書いていくのは、前職の医療機器D2CでYMYLに配慮したオウンドメディアを0から立ち上げたマーケティング担当なかのひと1号です。
なぜ今「サステナブルパッケージ」が必要なのか
先の「エコビューティスコア」が始まったきっかけですが、欧州では化粧品だけでなくアパレルなどで、サスティナブルであることをPRして販促をするサスティナ販促のようなものが流行っていました。再生素材〇〇%使用など、タグに記載するのとしないとのでは明らかに売れ行きに差が出る。そうなると、本当にサスティナブルをやっているのか疑わしい商品も散見されるようになってきました。これを規制する。ということもあってエコビューティスコアが始まっています。
引用:Z世代はサステナブル志向、世界の調査が映す若者の姿
https://www.econetworks.jp/internatenw/2020/08/generationz/
注目したいのは、スコアや規制ではなく「サスティナブルであることで売れ行きに差がでる。」ということです。
消費者の環境配慮志向の高まり
このサスティナブルであることで売れ行きに差がでる。ことについては、実は日本でも見られる現象だと言います。
引用:自然由来指数92%以上のジェンダーレスコスメブランド「HAVEKU」がライフスタイルに関する調査を実施!
https://echolocation.jp/haveku-lifestyle-survey/
ただ、一方で、サスティナブルなだけでは靡かないないというデータあります。
引用:SNS映え優先 Z世代に響かないサステナブルの現実
https://forbesjapan.com/articles/detail/79649
「どれだけ社会性の高い商品でも、価格や使用感、パッケージの魅力を超えられなければ選ばれない」先の記事から引用させていただくと、性能、品質、デザイン性などで「いい商品」であることは前提となってきている上で、サスティナブルであることによって、共感できる。気分があがる。というより消費につながってゆく構造となっているようです。
行動経済学的に考えると、システム1で直感感覚的に「これいいね。」が起きて、「システム2」でじっくり見てこれだわと腹落ちする。この構造ではそりゃそうだよね。という感じですね。サスティナブルであることはあくまでシステム2の判断になりがちですよね。
以前のコラム「木製の化粧品容器|サステナブル素材で差別化するD2C・OEM戦略
https://novelty-moku.com/blog/cosme-sdgs-oem/
こちらでも書きましたが、もう商品やブランドが雨後の筍のように乱立している化粧品の市場では、機能性や品質、デザイン性では、差がつきにくい。というのが実情です。差がついてもすぐに真似されて、その差が埋まってしまう。そんななかで求められる差別化こそがサスティナブルであり社会的な意義という形になります。
ESG投資・SDGsを背景に企業価値へ直結する流れ
ちなみに、環境配慮や社会配慮に強い関心を示しているのは、上場されている企業であることが多いです。
というのも世界の投資や融資などの金融市場全体の40%をESG関連の金融商品が占めて、2022年ごろに経済界隈ではちょっとした話題になりました。
ESG経営とも呼ばれていて、環境や社会に良い取り組みを行い情報開示することで金融機関や投資機関が評価して、企業の価値に直結。
2025年以前は取り組みことでいいことがある形でしたが、これから先は取り組みをしないと経営にマイナス影響が出てくるようになるかもしれないとも言われています。
D2Cブランドが差別化するなら「パッケージ」から
特に化粧品業界は原材料や製品そのものだけでなく、“パッケージ”のサステナビリティも評価対象になり始めています。
というわけで、ですが、D2Cだけでなく化粧品を扱われるなら、環境配慮や社会配慮、サスティナブルであることは消費者のマインドを確かなものにする差別化として、企業経営としてESG関連の取り組みとして、パッケージを扱っていく必要があると言えそうです。
商品の中の成分などがサスティナブルであることは大事ですし、実施すべきと思いますが、結構おおくの企業がこの取り組みを始めています。まだそこまで開拓されていない競合に先んじて手を売っていける差別化要素の余地がしっかりとある分野、それがパッケージと言えそうです。
サステナブル化粧品パッケージの代表的な素材
差別化要素として、サスティナブルなパッケージに用いられる素材などを取り上げていきます。
サステナブルな化粧品パッケージの種類
・再生プラスチック(PCR)、サステナブルな素材というと、やはり再生プラですね。コスト抑制も可能でリサイクルというほとんどの人が理解できるアピール要素をもてます。
・紙・FSC認証紙 こちらは使う状況によっては耐水加工や腐食加工などが必要になるかもですでが、プラなどにらべて軽量で輸送不可を軽減可能。リサイクル適性もGoodです。
・バイオ樹脂(PLAなど) 最近よく見かけるようになりました、自然素材をプラスチック樹脂に混ぜて作ってサスティナブルなプラ製品です。よくあるのがコーヒーの廃棄豆などがあります。とくに上場企業ではこのあたりの取り組みが積極的ですね。プラスチック製品、ケース、蓋の代替として注目されます。
・木製 最近、大手某ブランド様で人気の商品があるので、そのまま使うのは憚ると思いますが、木は高級感と温もりを視覚的に伝えることができて、触れて顔ってとブランド体験価値が高いのがポイントです。
ほかにもアルミや金属系の素材で重厚感を、ガラスで高級感を演出する。コンポジット素材で未だかつてない近未来感などの演出も可能です。
なお、木製で化粧品のメイクパレットを作らせていただいたロゴナジャパン様の実績を紹介いたします。
お客様事例紹介|ロゴナジャパン様「luamo」木製パレット(姉妹サイト:Wood+へ飛びます)
https://eco-pro.ne.jp/columns/logona-be/
サステナブルパッケージの最適な選び方
さて、いろんなサステナブルなパッケージや箱、ケース、蓋があるのですが、先のお客様の購入動向や趣向を踏まえると、見た目の差別化というところが欠かせないポイントになりそうです。ほかにも質感による手触り、香りや素材感などで自社のD2Cや化粧品ブランドにある素材を選ぶのがおすすめになります。とくに化粧品は人の肌に触れるものであったり、香りがあったりとするので五感をもとに考えていくのが良いと思います。見た目におしゃれなだけでなく、五感に訴えるブランド体験をいかにつくるのか?まとめていきます。
見た目の差別化
視覚的なところで、もちろん大事になるのが、見た目です。見た目が他の商品と違う。というがけで検索結果やEC一覧で「映える」存在に変わります。
AISASやAIDMAといった消費動向の原理原則的な話ですが、目につく、印象にのこる。これは、桃太郎でいうと、川から流れてくるのが”桃”か?山でならどこでもあるような”
木片”か?そして、おばあさんは、桃とそこらへんによくある木片のどちらに注目がいきますか?という感じで捉えていただけるとわかりやすいかなと思います。
一瞬の0.2秒で「おや?」とお客様に思ってもらえるもの。もちろんコンセプトからずれてユニークになりすぎてはダメですが、この構成がしっかりしているとお客様の「これいいかも候補」にすっと入ることになります。
手触りや質感
次に、手触りです。いろんな素材で手に取ったときの質感はかわります。自然にとことんこだわる。というコンセプトであれば、パッケージやケース、蓋が、つるんとしたほうがいいか、ざらっとしたほうがいいか。ざらっとするにしても、さらさらなのか、ざらざらなのか、感覚的なものですが結構このあたりの違いでプレミアム感を直感的に伝えることができるようになります。
香りや素材感
そして、はずせないのが香りです。香りや匂いは、他の感覚以上に感情や思い出と結びつきやすいとよく言われます。
生理学とか医学的な話は、ここでは控えますがたとえば「懐かしい香りで学生時代を思い出す。」「大鍋で作られたカレーの匂いで給食を思い出す。」といった現象です。これは「プルースト効果」と呼ばれ、近代マーケティングでもブランド体験に活用されている手法です。
サスティナブル化粧品のパッケージ素材特徴一覧
上の指標をもとにして、AIの分析を元にして化粧品で用いられるサスティナブルな素材の特性を一覧にしてみました。

ちょっと手前味噌ですが、やはり、木……‼︎木はすべてを解決するッ……‼︎
OEMで実現するサステナブルパッケージ導入のポイント
さて、サスティナブルなパッケージの化粧品というと、もう木が目立つあのブランドに、紙と木質素材をベースにパッケージを作られていたり、生分解性プラスチック100%や海洋プラスチックをリサイクルしたりと各社いろんな取り組みをはじめています。
OEMで素材選定を相談できるか?
一般的な化粧品OEMのメーカー様は数多く存在しますが、パッケージや副資材、箱、蓋などまでサスティナブルにできるか?どうか?ここは結構難しいポイントになると思います。ワンストップで依頼してもよいのですが、高上がりになったりもするので、サスティナブルな加工ができるパッケージメーカーやケース製作会社、樹脂成形サービスをされている他の会社に依頼する流れが多くなるのかなと思います。
OEMの最小ロット、限定ラインが可能か
サスティナブルな副資材やケース、箱などは記事やニュース、データ、メディアなどで人気だ。という話を聞くものの、流石に全商品を一気にかえて、思っているような効果がでないとなるとちょっと怖い。テスト的に試してから本格的に導入を検討したい。というときにOEMでつくる箱やケース、パッケージの最小ロットがどれくらいか?限定生産のラインでつくれるか?を押さえておく必要もあります。
コスト感とロット数の目安
ちなみに、化粧品D2Cで一般的に必要とされている粗利率は70-80%と言われています。60%を下回ってしまうとかなり苦戦するとも言われています。
スタート時期は、とにかく広告重視、そこからSNSやオウンドメディアなどの集客を加えていって、リピーターを増やしてってなると2,3年でイニシャルコストを回収できれば御の字という感じになりそうですね。
そのため、先の小ロットの話にも通じるのですが、テストを実施して想定通りの数字がでるか?改善を繰り返して前進していけるか?が大事になりそうです。
サスティナブルなパッケージを踏まえてですが、テスト販売では粗利率で60%くらいを目安にしてコスト感を踏まえてパッケージやロット数を決める。というのがよさそうです。
まとめ|サステナブル素材「選ばれる」ブランドになるには
化粧品市場は、D2Cブランドも新興でどんどん立ち上がり、品質や機能だけでは差別化が難しい“レッドオーシャン”といえます。その中で「サステナブルであること」は、もはやブランド選択における必須条件となりつつあります。
欧州発のエコビューティスコアをはじめ、世界的にグリーンウォッシュを避け、確かな環境配慮を求める流れが加速していることだけでなく、消費者の意識も確かに環境や社会に、「ほんとうにいい」を求める傾向が強くなってきています。
そんななかでパッケージは、消費者に最初に触れられるブランド体験の接点であり、パッケージの素材選びそのものがブランドメッセージになります。再生プラスチックや紙、バイオ樹脂など多様な選択肢がありますが、その中でも「高級感と温もりを同時に伝えられる」のは木製素材ならではの強みです。すこし手前味噌ですが、視覚・触覚・嗅覚に働きかけ、サステナブルな姿勢を直感的に届けることができるとお客様からも好評です。
とはいえ、全ラインをいきなり切り替えるのはリスクが伴います。OEM/ODMを活用すれば、小ロットやギフト・限定ラインからテスト導入が可能です。そこで消費者の反応を確認し、改善しながら本格展開へとつなげるのが現実的なステップです。
D2Cブランドにとって、サステナブルパッケージは単なるコストではなく“未来につながる投資”。差別化と顧客共感を同時に得られる最適解として、早めの導入を検討していくことが「選ばれるブランド」への第一歩へ。そのお手伝いができると幸いです。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
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