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MOKUのコラム担当なかのひとです。
先日、ちょっと別件で、文房具や文具を探しに、L○FTやハ○ズなどの大手ライフスタイル雑貨系専門店に行ったのですが、もうあちこちに海洋プラスチックの再生プラのボールペンや家具などの端材でつくった文具などが置かれていて数年前だと貝殻やコーヒー豆の廃棄資材をプラスチックに混ぜてつくったボールペンがある程度だったのが様変わりしてきています。
そんな文具や文房具などの雑貨に、じわりと広まるサスティナブル。
とくに、文具・文房具でサスティナブルなアイテムが増えている理由のひとつに、学生が主要なお客様ということもあるとされています。
2020年ごろから小中学校の義務教育でSDGsやサスティナブル、環境や社会に貢献することを学ぶようになってから、その勢いは増しています。
学んだ世代とそうでない世代で、ものの購入動機が大きく変わったというデータもあります。
【第10回SDGs認知度調査】若い世代でSDGsに高い関心 商品購入に影響も 朝日新聞SDGs ACTION!
また、近年注目されるデコ文具やエモ文具といったおしゃれな文房具の愛好家たちも環境や社会への配慮に関心が高いと言われています。
というのも、そういった愛好家たちはものを大事にする。小さな世界をよく見つめる。やさしさに感度がある。という人たちです。
どんなに可愛らしくておしゃれでも、温暖化効果ガスをたくさん出していて環境によくないとか、強制労働などで搾取的な労働でつくられているといった環境と社会的にやさしくないものを敬遠する人たちとも言えます。
そんな市場のニーズもあって、文具や文房具でZ世代をSDGsに貢献することは、もはや当たり前となってきていて、もう「SDGsに貢献します」「サスティナブルです」というだけでは、多くの商品が連なっていて差別化がむずかしくなってきています。
さらに、2025年に東京証券取引所(JPX)が改訂したガイドラインやISSB(国際サステナビリティ基準審議会)などの環境や社会に配慮することを企業経営に求めていく流れは、より厳しく、より激しくなっています。
もちろん、すべての企業にそれが適用というわけではなく、いまはまだ上場企業を中心にしてということですが、上場されている企業であれば、すでにこの準備をしないといけなくなってきていると言えます。
そんなサスティナブルな文具、文房具に必要とされる。あっと、サスティナブルな文具でなくてもですね。必須とされはじめるESGについて考えていきます。
文具・文房具市場の変化とSDGs

2015年頃から、文具・文房具市場では「かわいい」「おしゃれ」といった感性価値を重視した“エモ文具”や“デコ文具”の人気が高まり、消費の中心に感情的な共感や世界観が位置づけられるようになってきました。
エモ文具やデコ文具の代表的な事例といえば、「マスキングテープ」をはじめ、動物や季節をモチーフにした「フレークシール」や、カラフルで装飾性の高い「デコ手帳」など、使うだけで気分が上がるアイテムたちのことをいいます。
以下のGoogleトレンドのグラフは、そんなデコ文具、エモ文具の定番「フレークシール」(赤)と「デコ手帳」(青)の検索人気の動向を示したものです。

2011年ごろまでは検索もされていないワードでしたが、2014年前後から両ワードの検索ボリュームが増加しており、「文房具が自己表現のメディア」へと変化していった状況がうかがえます。この流れはZ世代、ミレニアル世代を中心とした感性重視の購買行動とも一致します。
Z世代やミレニアル世代の感性購買行動については下記のリンクを参照してください。
「Z世代の購買行動調査」マネーインサイトラボ
https://corporate.minna-no-ginko.com/common/pdf/news/2024/01/30/newsrelease_media_0130_01.pdf
【ミレニアル世代】約7割が「ブランド価値よりパーソナライズ」を重視。20代男女の消費に関する意識調査 ECのミカタ
ザクっと内容をまとめると、見た目のいいものを重視する傾向がZ世代には強くあり、ミレニアル世代には、自分に合う商品を選ぶという傾向があります。
それぞれの世代が購入世代として加わってきてから文具・文房具にデコやエモといったおしゃれ、かわいい。自分らしいというこれまでになかった軸が加わり、いまの文具・文房具市場となっています。
ここ数年、“かわいい・エモい”という美意識の中に、SDGsが広まってきたことに合わせて「環境配慮」「社会貢献」といった価値観が自然に溶け込むようになっています。
2020年から2023年くらいまでは、このSDGsや環境対応をしているという商品や企業がまだそこまで多くはなく、対応しているというだけで差別化できていました。
これを裏付けるように、2021年に帝国データバンクが実施した調査では、全国の企業でSDGsに取り組んでいる割合は28.6%と報告されていました(前年比+8.7ポイント)。
つまり、2020年〜2023年ごろまでは、対応している企業はまだ“少数派”であり、それ自体が差別化要素になっていたことがわかります。
ですが、もう対応しているのが自然というか当たり前になってきています。
帝国データバンクの調査では、2024年には、SDGsに対応している企業は、54.5%で、その効果を実感しているのが7割にも上るといわれています。
この流れが、いまの文具、文房具市場のざっくりとした構成となっています。
もちろん高級志向や記念品的な文具などは、この流れとはちょっと違うのであしからずです。
文具、次の一手は「ストーリー」

ここまでは、定番的な文具、文房具にの市場にエモやデコといった「おしゃれ」「かわいい」「自分らしい」というミレニアル世代にあわせた新しい軸としての文具市場が生まれてきて、SDGsが進みZ世代の購入動機とマッチした背景をもって文具・文房具がサスティナブルになってきた流れを見てきました。
「おしゃれでかわいく、サスティナブルで自分らしい。」これが今の文具市場のトレンドとなっているようです。
ただ、先の章でも少し触れましたが、この流れが早すぎてサスティナブルなだけでは差別化しきれなくなってきています。
これにもう一歩踏み込んだ、次に一手として提案したいのが「ものづくりの理由」ストーリーです。
海洋プラスチックをアップサイクルしてボールペンにしました。というサスティナブルなボールペンにストーリーを加えるなら、
このボールペンは、ウミガメが棲む〇〇の海に漂着したプラスチックごみをアップサイクルしてつくっています。
ウミガメの産卵地として知られる奄美の海岸では、毎年多くのウミガメが命をつなごうと砂浜にやってきます。
けれども、波打ち際にはペットボトルやビニール片などのごみが溢れ、ウミガメやその子どもたちの命を脅かしています。
このボールペンを選ぶことは、ウミガメの産卵地を守る一歩にもなります。
売上の一部は、〇〇の海の波打ち際クリーン活動やウミガメの生態調査プロジェクトに活用されます。
手にした一本が、「書く」だけでなく「守る」ことにつながる。
やさしい気持ちが、ウミガメの海へと届いていきますように
と言う感じでしょうか。
「なんでこの商品をつくったの?」に、ちゃんと答えられるか?

このようなストーリー商品のなかで個人的にとりあげたい事例として、ある国産アパレルブランドの事例があります。
そのブランドでは、すべての製品を日本国内で製造し、各アイテムのタグに製造地の都道府県を明記するなど、製品の背景にあるストーリーを大切にしています。
とくに縫製業は日本で衰退しています。その産業活性として、彼らがデザインや市場をつくり、ものを届けています。
その服を買うこと、着ることが、日本の文化・地域、それを守る人たちの支援となっているというストーリーです。
ストーリーを通じて、商品の信頼性や品質の高さを伝えるだけでなく、社会的な貢献、そして企業の姿勢や価値観を示すものとなっています。
文具でもこういったストーリーをもって、お客様の印象に残しつつ、実態のある行動として、なにかをする。支援する。などのアクションを組み合わせることでただの消費を社会貢献のアクションに変えることで一層ふかい差別化になっていきます。
ストーリーを作る上で重要なのが、こんな問いに、きちんと語ってこたえられるか?です。
◻︎なぜその素材を使っているのか?
◻︎なぜそのカタチなのか?
◻︎具体的なアクションはなにか?
◻︎なぜ今、それを届けたいのか?
こうした問いに真摯に向き合い、商品で答えようとする姿勢。
それが“ストーリーのある文具・文房具”であり、次の差別化となるんじゃないかなと思っています。
ストーリーでの購入について特に、Z世代やミレニアル世代は「その背景に共感できるか」を購買判断の重要な基準にしています。
「かわいい」や「おしゃれ」は前提。その上で、「この文具を選ぶ理由・ストーリーが、自分の生き方とリンクするか?」が見られるようになってきています。
そして、「ESG」という世界の視点

先のストーリーに、さらにちょっとだけ加えると、ESGがあります。ただ、ここは、ほとんどの場合はいますぐにやる必要はないかもしれません。
上場されている企業。大手の文具店や書店などに商品を置いていただくことを想定していれば、いずれ避けることができなくなるポイントにはなってくるかなと思います。
さて、そんな視点としてESGってなんぞや?という方のためにざっくり解説をしますと、Enviroment(環境)Social(社会)Governance(ガバナンス)の頭文字をとってESG。
端的にいうと、企業経営に環境と社会に配慮したことをしましょう(EとS)。やったことがわかるように管理しましょう(G)。というものです。
ESGに重きを置いて企業経営をするのをESG経営、そしてそのESG経営を評価して株価など企業の評価になるのがESG投資と言われています。
ESG投資は、第三者の評価機関が各企業のやっていることを評価して決めていきます。
とくに上場企業では、このESGをやらないと株価に影響がでることもあるので積極的に行う企業が増えてきました。
特に上場企業、大手雑貨チェーンなど仕入れ側の目線では、「ストーリーによる共感」だけでなくそれは本当にやってる?という「責任ある調達」が求められています。
たとえば:
◻︎上場企業なら「その商品がESGリスクにならないか」をチェックする。
◻︎雑貨店や大手流通も、「サプライヤーの持続可能性」を判断基準にしはじめている。
これまでは「かわいくて、共感できる」で売れればOKだったのですが、ESG関連のことが世界的に影響力を持ち始めていて、上場企業が、なにかものを販売したり、大手の雑貨店が商品として並べるときにESG的なことをやらないといけなくなる。そういう社会がすでにやってきています。
ちなみに、ESGと先のストーリー的な商品との相性はばっちりよいのでやったほうがいいっちゃいいのですが、やるとなると結構大変です。
例えば、工場のさまざまな認証などが求められたりします。
いま、そういうことをはじめたい。とお思いであれば、そういう認証が取得できる工場や会社に依頼するのが早くて良さそうです。
おすすめ文具・文房具
というわけで、森を守る。国産、木工加工で地域の文化貢献や伝統技巧の継承といったストーリー性もあって、FSC®︎認証が取得できる文具・文房具を揃えて紹介いたします。
16cmスケール
https://novelty-moku.com/product/jb038/
実際のところ、OEM文具の定番というと、ボールペンなんですが、そこはもう超絶レッドオーシャンなわけです。
販売されるアイテムとして、レッドオーシャンに飛び込むのであれば、デザインは確実に競合との差別化が必須になりますし、機能的なところも大手と比較されることが大前提になっていきます。
で、あればちょっとずらして定規がおすすめです。
サイズも16cmでペンケースにしっかり入ります。
卓上カレンダー
https://novelty-moku.com/product/jb252/
文具・文房具といわれると、ちょっと怪しいものの、一応文具カテゴリーとAIも判定するカレンダーもおすすめアイテムです。
Youtuberさんや登山アプリ日本一のYAMAP様でEC販売で完売されたり、おおくの販売実績のある卓上カレンダー
https://novelty-moku.com/jissekisyoukai-toyoshimasama
おすすめです。
デコれる手帳スタンプ
https://novelty-moku.com/product/jb564
デコ文具・エモ文具では、確実に文具認定のスタンプ。言葉で語るよりも、デコ手帳と合わせたときに効果は抜群。

おしゃれでエモいグッズをつくりたい。でも、おおはずれはしたくないときや、推し活グッズにもおすすめです。
まとめ - ESG時代の文具OEMに、ストーリーという一手を -
これからの文具・文房具のOEMは、単なる「かわいい」や「サスティナブル」だけでは埋もれてしまう時代です。その商品の裏にある“なぜつくったのか?”を語れるストーリーこそが、Z世代・ミレニアル世代の心を動かし、選ばれる理由になります。
さらに、ESGという大きな潮流が、すでに上場企業や大手雑貨店などの調達の基準になりつつあり、OEMを行う企業としても、その対応力が問われてくるフェーズに入ってきました。
私たちは、「文具を通じて森を守る」「地域の技術を未来につなぐ」そんなストーリーを大切にしながら、FSC®認証などの環境配慮にも対応した文具OEMを提案しています。
この連載が、OEMを検討されている皆様にとって、
◻︎「サスティナブルを超えた差別化とは?」
◻︎「上場企業に選ばれるために必要なこととは?」
といった視点で、少しでもヒントや気づきになれば幸いです。
次回は、実際にESG対応が必要な商談事例や、ストーリーづくりに迷った現場のリアルについて、詳しくご紹介していく予定です。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。






